懐石料理の基本

「懐石料理」は茶事で供される、お茶を楽しむための料理です。濃茶を最もおいしく味わうためには、空腹ではなく少量の食事をとったあとの方が理想的。そんな考えから生まれた料理といわれ、本来は亭主が手作りした家庭料理でもてなすものです。そもそも「懐石」とは何でしょう。これはその昔、修業中の禅僧が、朝夕の二食ではおなかが満たされなかったため、夜間の空腹しのぎに温めた石を懐(ふところ)に抱く名目で「薬石」というお粥を食したことに由来する言葉で、「軽い食事」を意味します。以前、新宿で接待を受けた時に話を聞いたのですが、「懐石料理の献立は、一汁三菜が基本です。料理は折敷(おしき)という四角いお盆のような膳に、まずごはんと汁、「向付(むこうづけ)」と呼ばれる酒の肴が供されるそうなのです。ごはんと汁を一口ずついただくとお酒が出され、それから向付に箸をつけます。その後は「椀盛」(「煮物椀」と呼ばれることも)、焼物と続いて一汁三菜が完成します。これに加えて、あらためてお客にすすめる酒肴「強肴(しいざかな)」や、一口の吸い物「小吸物」、一辺が八寸の角皿に盛られた「八寸」という酒肴などが出され、締めくくりに湯の子(おこげ)に湯を注いで食す「湯桶」が供されます。

すべての料理は、後で楽しむお茶と季節の食材を最大限に引き立てるため、淡白な味わいに仕上げられるのが一般的です。

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